第29回 面板裏の確認方法
年末に向け、何かと忙しくお過ごしのことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。私は、今年こそは、年末の大掃除を年内に終えたいと思っていますが、重い腰がなかなか上がりません。さて、第29回コンバテッククラブ通信では、『面板裏の確認方法』についてお伝えします。
第27回コンバテッククラブ通信では、皮膚にかゆみやただれが生じた時は、ストーマ装具を交換する際に、面板の裏に、排泄物が潜り込んでいないかを必ず確認するようにしてくださいとお伝えしました。今回は、どのように確認していくのか…もう少し踏み込んでお伝えしたいと思います。まずは、面板裏を確認した際の理想的な交換状態についてお伝えします。
<理想的な交換間隔>
剥がした面板の膨潤幅が全周均一に10mm程度となっており、ストーマ周囲にスキントラブルがない状態は、理想的な交換間隔だと判断できます。

<皮膚保護剤の溶解程度から判断する交換の目安>1)2)
大腸ストーマは10mm以内、小腸ストーマは5mm以内、尿路系ストーマは5-10mm以内の溶解程度を目安とします。いずれも、皮膚保護剤の溶解・膨潤のみならず、皮膚の状態も併せて観察し、最終的に交換間隔を決めます。 ストーマ装具の貼付期間は、気温や排泄物の性状や量などでも変化しますので、ストーマ装具を交換するたびに、皮膚保護剤の溶解・膨潤の程度を確認する癖をつけておくと良いでしょう

<面板裏と腹部の評価>
9時方向に膨潤の幅が広がっており、ストーマ9時方向には、皺があり、近接部がかぶれています。従って、9時方向の皺の補正不足があると判断でき、この皺を補正するようなケアが必要であると判断できます。

皺を補正するときは、用手成形皮膚保護剤、板状皮膚保護剤、練状皮膚保護剤などを使用します。ストーマ周囲の皺の補正は、何を使用して皺を補正すると良いのかは判断に迷うことも多いと思いますので、使い分け方について簡単にお伝えします。
コンバテックシール(用手成形皮膚保護剤)
皺や窪みを補正します。アルコールを含んでいないため、皮膚への刺激がありません。

バリケア®ウエハー(板状皮膚保護剤)
フィルム状の支持体があり硬さがありますので、コンバテックシールでは補正しきれない柔らかい腹壁に入る深い皺や窪みを補正します。

バリケア®ペースト(練状皮膚保護剤)
細かな皺やわずかな段差を補正します。アルコールを溶剤としていますので、糜爛面には使用できません。

補正用皮膚保護剤の使い分けは、判断に迷う部分も多いと思います。このような際は、かかりつけのストーマ外来を受診するかコンバテッククラブのお悩み相談をご利用ください。
その際、はがした直後の面板裏の写真と、ストーマ周囲の写真を添付してくださると、より状況に沿った相談が承れます。
最後に、年末年始は、私共装具メーカーだけでなく装具販売店様もお休みに入ります。また、年末は物流も混み合いますので、お手元の装具が心もとなくなっている場合は、いつもより早めにご注文いただくと、安心してお正月をお迎えいただくことができると思います。年末のこの機会に、非常用持ち出し袋内の装具の状態も、是非ご確認ください。
参考文献
1)高橋純.3ストーマ装具の使い方 装具交換方法とアクセサリーの使いかた.消化器外科NURSING.大阪,メディカ出版, 2009, vol14. no.2. p31-39.
2)沼田美幸.6皮膚保護剤の臨床応用2尿路系ストーマ.皮膚保護剤とストーマスキンケア-基礎と臨床のすべて-.東京,金原出版.1998p92-99.1998p92-99.
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